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東京都豊島区
住宅+貸店舗



都電荒川線向原駅から徒歩3分にある、長屋も数多く残り互いの肩が触れ合うような住宅密集地にある約10坪の狭小敷地である。
狭小敷地でありながらも、前面道路には旧造幣局、電気店やテーラーなど昔ながらの店舗が残っており、目の前にある小学校の校門は毎日子供たちが行き交うエネルギー溢れる場所であった。
施主はここに家族の住まいだけでなく、1階に将来は夫婦で営む店舗としても利用する貸店舗を設けることにした。

建物周囲に足場を建てることの出来る最小寸法を確保すると短手方向は3m以下となる。この細さを高さや薄さでカバーしようとすると、建物の引き抜き方向の力との戦いとなる。それに対し基礎に柱脚を埋め込むことで剛接合とし、住居のプライバシー確保にも寄与する斜壁も構造要素として利用している。また、基礎打設前に剛接合の柱をセットし、0節を設けずジョイントをなくすことで壁厚を可能な限り薄くしている。

目の前に小学校の桜が見える3階道路側に家族の集まる場を、隣家が2階建てのため遠くまで見渡せる場所に明るい浴室を配置し、夜に利用する寝室を貸店舗とのバッファーとして2階に設ける構成としている。
様々な場を各階に配置し互いに必要な大きさを確保する。断面的に凸凹しながら配置された空間を形状の異なる階段で繋げている。
各階の階段は様々な要素に噛み合いながら、その場に応じて形状も全て異なり、単独要素としてではない存在とすることを意図した。蹴込み板がありササラが両側壁に噛み合わせるように埋め込まれた1階から2階の階段、収納に噛み合いながら巻き上がる2階から3階への階段、将来の屋上利用のために設けた階段はイナズマ型のササラ片側が壁へ噛み合っている。
貸店舗は階段下を利用でき、2階の廊下はワークスペースへ、2階収納の上は階段踏板となり、3階階段は家具と一体利用できる。
このように互いに元々の用途を持ちつつ別の用途としても存在し、要素の意味を拡幅させることが狭小敷地の可能性を広げる手法だと考えた。


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 写真撮影 若林